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薬の副作用による脱毛症

薬の副作用

よく知られているように病気、疾患の治療に用いられるには、何らかの副作用が必ずあります。従って、薬の中には脱毛の副作用をもつものもあります。
一部の薬においてはひどい脱毛を起こす副作用があると報告されておりますが、多くはありません。

薬の副作用による脱毛の症状には、主に「成長期脱毛」と「休止期脱毛」の2つに分類されます。

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薬の副作用での「成長期脱毛」とは

髪ののヘアサイクルには「成長期・退行期・休止期」を繰り返しながら成長し、人の生涯においてこのヘアサイクルを15回ほど繰り返しております。

しかし猫や犬のように季節によって一気に抜け毛が出て生え変わるわけではありません。それは人の毛の毛包は一つ一つ異なった周期でのヘアサイクルを営んでいますので、同時期に一気に毛が抜けてしまうことはないのです。

ただ成長期の毛髪が一気に抜けてしまうこともあります。その中でひとつの要因が「薬による副作用」となります
何らかの病気において薬を服用すると、細胞の分裂が活発な毛母細胞に「細胞の抑制機能がある薬」が影響して薬の副作用として影響をまともに受けることがあります。

これを「成長期脱毛」といい代表的なものに「抗がん剤」等による薬物の副作用によって毛が抜けてしまうしまうのです。

抗がん剤の副作用による成長期脱毛

抗がん剤の薬剤において毛母細胞が影響を受けて「細胞が死滅」し毛が抜け落ちるには幾つかの説明が必要です。

毛髪は、ヘアサイクルで成長期、退行期、休止期を繰り返し、通常はほとんどの毛が成長期の状態になっています。
しかし、細胞の分裂を抑制する薬を服用すると、成長期の毛に対して、影響が出てきます。

これは成長期の毛の毛母細胞が骨髄の細胞と同じく細胞分裂をしているため、薬の作用により毛母細胞が死に、脱毛へつながってしまうのです。

  • 抗がん剤による脱毛
    抗がん剤の成分・投与量・投与方法によって個人差による程度は異なります。頭皮の広範囲においての脱毛が進むケースが多いです。
    また、眉毛やまつ毛にも及ぶケースも有りますが、これらの毛には頭皮の毛と比べて「成長期毛」が少ないので比較的目立たない脱毛となります。


  • 抗がん剤脱毛症状
    抗癌剤を投与後、開始から1~2週間で脱毛が始まります。その後1~2ヶ月後には脱毛が目で見てもわかるようになり始めます。
    ただし個人差があり急激に進むケースと症状が現れないケースも有り一概には言えません。


  • 抗がん剤の脱毛を食い止める
    現段階において、抗がん剤による脱毛をくい止めるには明確な方法はありません。ある意味抗がん剤がよく効いていると解釈している患者さんもおられます。
    薬の投与が終了し毛母の毛幹が細くなっていますので、脱毛はしばらく続きますが髪の毛は徐々に生え始めて再生していきます。


  • その他の成長期脱毛
    抗がん剤の投与による脱毛の他に、がん治療には「放射線治療」があります。
    この場合頭部以外での患部に放射線照射をして脱毛をすることはありません。頭部においても放射線を当てた場合のみで、さらに照射された部位での狭い範囲にとどまることもあります。

抗がん剤の副作用による脱毛の対処法

細胞分裂を抑制する薬の代表格が、抗がん剤です。個人差はありますが、抗がん剤の副作用による脱毛は、広範囲にわたる場合が多くみられ、抗がん剤治療を行う患者は、帽子や医療用カツラ(ウィッグ)を用意して対応する人が多いようです。

最初は帽子を用意して、その後脱毛が進み頭皮が目立つようになれば「医療用のカツラ(ウィッグ)」を脱毛した時の対処法として考えておくとよいでしょう。また、治療を行う病院でもQOL対策として相談に乗ってくれます。

今ではこの脱毛において対処法を教えてくれる組織(NPO)や医療用のカツラやウィッグを貸し出したりしている組織もあり、またオーダーメイドや既成品で買い求めることもできます。

一般には既製品の医療用ウィッグを買い求める患者さんが多いようです。

薬の副作用での「休止期脱毛」とは

薬と脱毛

先に述べたように人のヘアサイクルには「成長期・退行期・休止期」を繰り返しているのですが、通常、毛髪全体を見ると85~95%が成長期に当たります、残りの10%前後ほどが休止期の状態にあるのがヘアサイクルの流れです。

毛髪の休止期とは、次の成長期に入るための脱毛なので、やがて新しい毛が生えてくるための準備期間なのです。

しかし、薬の影響で休止期間の割合の高い髪の毛の毛包が増えてくることもあり、さらに成長期の髪の毛の期間が短くなったりして脱毛が進むこともあります。

これらを薬の副作用による「休止期脱毛」といいます。抗がん剤による成長期脱毛によるケースと同じで薬の副作用なので薬の投与をやめれば脱毛は治まります。

脱毛を生じる副作用の可能性がある薬

髪の毛全体では、通常1割程度が休止期の状態に入っています。再び成長期に入るときに抜け落ち、新しい毛に生え変わります。
服用している薬により、休止期の髪の毛が増えたり、成長期の期間が短縮される場合もあります。薬の副作用による休止期脱毛の場合、その副作用をもつ薬の使用を止めれば、脱毛も止まります。

タイプ 治療薬剤 薬剤成分
降圧剤 α遮断剤 ドキサトシン など
β遮断剤 ベタキソロール プロプラノロール
メトプロロール アロチノロール など
ACE阻害剤 エナラプリル イミダプリル など
Ca拮抗剤 アムロジピン など
高脂血症(脂質異常症)用剤 HMG-CoA
還元酵素阻害剤
アトルバスタチン フルバスタチン
プラバスタチン など
フィブラート製剤 ベザフィブラート クリノフィブラート
フェノフィブラート など
中枢神経系用薬 てんかん治療剤 カルバマゼピン バルプロ酸ナトリウム
トリメタジオン ゾニサミド リチウム
パーキンソニスム治療剤 ベンセラジド レボドパ ペルゴリド など
うつ病・うつ状態治療剤 イミプラミン メチルフェニデート など
非ステロイド性消炎鎮痛剤 アルミノプロフェン アンフェナク イブプロフェン
インドメタシン ジクロフェナク
スリンダク ナプロキセン など
消化器官用薬 H2受容体拮抗剤 シメチジン ラニチジン など
経口血糖降下剤 グリベンクラミド グリクラジド グリメピリド
ボグリボース アセトヘキサミド など
経口血糖降下剤 ベンセラジド レボドパ ペルゴリド など
痛風治療剤 コルヒチン アロプリノール など
骨代謝改善剤 エチドロン酸ナトリウム など
ビタミンAと誘導体 エトレチナート トレチノイン レチノール
ビタミンA など
内服抗真菌剤 フルコナゾール イトラコナゾール
テルビナフィン など
抗ウイルス化学療法剤 アンブレナビル ジダノシン エファビレンツ
インジナビル ラミブジン ロピナビル
ネビラピン アシクロビル など
抗結核剤 エチオナミド エタンブトール など
ホルモン剤 性ホルモン製剤 フルオキシメステロン テストステロン など
GnRH誘導体製剤 ブセレリン ナファレリン など
子宮内膜症治療剤 ダナゾール など
インターフェロン製剤 IFNα IFNβ IFNγ など
緑内障・高眼圧症治療剤 レボブノロール チモロール など
抗甲状腺剤 プロピルチオウラシル チアマゾール など
腫瘍性大腸炎治療剤
抗リウマチ剤
サラゾスルファピリジン メサラジン など
勃起不全治療剤 シルデナフィル など
血液凝固阻止剤 ヘパリン ワーファリン など

休止期脱毛の副作用がある可能性がある薬剤は、身近なものではビタミンAやH2受容体拮抗剤などの消化器用薬などがあります。

その他にも降圧剤や高脂血症、痛風治療剤などを初めとする多くの薬剤に、休止期脱毛の副作用をもつものがあります。副作用の症状には個人差があります。
自分の飲む薬の副作用と思われる症状が出た場合は、医師や薬剤師に相談をしてください。

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