男性型脱毛症の謎と原因を知ろう
AGA(Androgenetic Alopecia)とも呼ばれる男性型脱毛症は、今も昔も3人に1人ぐらいの割合で発症し、古今東西の男性を悩ませています。
近年ではメカニズムも解明され、治療薬も登場しました。男性型脱毛症の原因とはどのようなものなのでしょうか。
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何故、男性にハゲ、薄毛が多いのか?その原因は?
男性型脱毛症は、成人男性の前頭部や頭頂部の頭髪があるパターンで薄くなります。
早い人では思春期過ぎた20代から始まり、40代の男性では30%の人が発症すると報告されています。
薄毛の原因で、朝シャンやストレスという説がありました。
しかし、25年前も現在も男性型脱毛症にかかる人の割合に変化がないことや各種の調査などから、これらは男性型脱毛症の原因としては関連性はないことがわかります。
男性型脱毛症の仕組みの解明により、男性ホルモンと遺伝が関与していることが判明しました。
この男性ホルモンが思春期に髭や腋毛などの体毛の発育を促進する役割を果たすと一方で、頭髪を減らす働きもしてしまっていたことが、分子生物学による研究により発見されたのです。
男性型脱毛症は、休止期脱毛の代表例
脱毛症には、成長期脱毛と成長毛が休止期に入って脱毛する休止期脱毛の2種類があります。
成長期脱毛の代表は、円形脱毛症で、休止期脱毛の代表例が男性型脱毛症です。
男性型脱毛症は、成長期が短くなり、休止期にある毛の割合が増加して、本来であれば硬毛であったはずが、軟毛になってしまったり、毛が皮膚の中でとどまってしまい、皮膚の表面まで伸びて出てこない症状があります。
■男性ホルモンとヘアサイクル、毛の発育との関係
思春期になると、男性ホルモンの作用でヘアサイクルが変化してきます。
男性ホルモン以外にもヘアサイクルに影響する物質はありますが、これらは主に毛包の上皮細胞に作用するのに対し、男性ホルモンは間葉系細胞にのみ直接影響することがわかりました。
男性ホルモンが作用するために、酵素、男性ホルモンの受容体となるレセプター、標的遺伝子が必要です。
テストステロンが血中を流れ、細胞内に入り、酵素によりジビドロテストロン(DHT)に変わり、DHTが細胞内の男性ホルモンレセプターと結合し、細胞の核内に入り、標的遺伝子に結合するのです。
男性ホルモンレセプターは、毛包の中でも間葉系の毛乳頭細胞にあることがわかっています。
しかし、男性ホルモンレセプターがあるのは、前頭部、頭頂部、髭や腋毛の毛乳頭細胞です。後頭部の毛乳頭細胞はには、男性ホルモンレセプターはありません。
したがって男性型脱毛症を発症した多くの方でも後頭部の髪の毛は脱毛せず、残っているケースが多いのです。
男性ホルモンと毛乳頭細胞との関係
そして、毛の発育に関する男性ホルモンの作用は、髭も前頭部も毛乳頭細胞がターゲットになっています。
男性ホルモンは、髭では発育を、前頭部では発育を抑制するシグナルを出しています。
思春期に男性ホルモンが増えてくると、髭の毛乳頭細胞からは、IGF-1 という成長因子が分泌され、このIGF-1が角化細胞を刺激し、髭の成長を促進します。
一方男性型脱毛症を起こす前頭部や頭頂部では、男性ホルモンが増えると毛乳頭からTGF-β1が分泌され、角化細胞が増えるのを抑制したり、細胞の死滅を招きます。これにより、男性型脱毛症の発症につながるわけです。
毛の部位別に起こる関連性のパラドックスとは
前項で男性ホルモンが引き起こす毛の部位別で成長促進する髭(ひげ)と男性型脱毛症を発症させ頭髪の毛を失くす働きをさせる関連性は男性型脱毛症に悩まされている多くの男性には受け入れられないことでしょう。
これらの謎が近年解き明かされたのは、活性化状態を遺伝子レベルで調べれるようになってからでした。いわゆる医療の専門分野での「分子生物学」の進歩の賜物です。
思春期から人の体内で働く男性ホルモンは男女問わず重要な働きを致しますが、同じ男性ホルモンが毛に及ぼす毛乳頭の種類(髭と頭髪)によって成長の促進から成長の抑制またはアポトーシス(細胞の死)まで関わってくることに受け入れがたい心境に陥っている方もいるのではないでしょうか。
しかし、男性型脱毛症(AGA)の発症のメカニズムが解明された今では年を追うごとに治療法も治療薬も進歩し続けています。
そう遠くない時代には「誰でも治療できどんな人でも効果のある治療戦略」が私達の悩みを解決してくれるはずです。
巷の噂やデマに惑わされずに、高額なお金の損失をしなくて良い時代も近い将来訪れるでしょう。
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