人生が変わってしまう病気、円形脱毛症の種類と仕組み
皮膚科に外来で訪れる脱毛症の患者さんには近頃、男性型脱毛症での患者さんが増えてきていますが、脱毛症にはその他いろいろなものがあり中でも「円形脱毛症(AA)」は、脱毛症の病名として最も有名な症状の1つです。
円形脱毛症は、ヘアサイクルの成長期にある毛の毛母細胞がまとめて死んでしまうことで脱毛が生じます。
見た目の特徴としては、ある一部の毛がまとめて抜け落ちしまうことです。円形といっても必ずしも丸い形に毛が抜けおちるわけではありませんし、複数個所が脱毛します。
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円形脱毛症(AA=Alopecia areata)
円形脱毛症って「10円ハゲ」と言われるぐらい昔から有名な病気です。
しかし近年までこの円形脱毛症のメカニズムは解明できずにいました。
そのため病気とはいえ誤解されやすく患者さんにかかる負担は想像を絶する悩みを強いられておりました。
また円形脱毛症と戦うには長期に渡る治療で苦戦をしいられ患者さんの負担も多い反面、治療を行う医療側にとっても同じく苦戦を強いられております。
円形脱毛症は「命にかかわる病気ではないものの、人生が変わってしまう病気」だとアメリカの円形脱毛症患者の会でも謳っているように、この病気は周囲の人達のケアと理解が必要となります。
男性型脱毛症と違い頭頂部や前頭部の髪の毛がまばらに抜け落ちていく症状とは違い、円形脱毛症ではある特定の部分がまとめて抜け落ちていきます。
しかも円形脱毛症だからと言って円形に脱毛するとは限らず、脱毛箇所も一箇所から複数に及び個人差はまちまちです。
近年においてこの病状の複雑なメカニズがようやく解明されつつあります。
円形脱毛を発見・確認したらどうする?
ある日突然、脱毛を確認し異変を感じたのであれば、すぐにでも皮膚科へ出向き診察を受けるのが良いのですが、円形脱毛が一つや二つの場合自然と治ることもあります。
しかし症状が三ヶ月たっても改善されない場合または「元の同じぐらいの太い毛が生えない」のであれば皮膚科での治療をオススメいたします。
円形脱毛症の種類は、5種類
円形脱毛症の全体像は複雑で、ヘアサイクルでの成長期にある髪の毛の毛母細胞が一気に死滅してしまうことで脱毛が起こります。痛みやかゆみなどの自覚症状を感じることがないので突然頭髪や体毛が抜けることもあります。
円形脱毛症は、主に、
の5種類に分類されます。- 単発型
円形の脱毛が1~2か所に起きるという円形脱毛症に一番多い症状です。円の大きさも1cm程度から数cmまでいろいろです。単発型の場合は、ほとんどは治療しなくても治る症状です。 - 多発型
円形の脱毛が数か所、多い人は数十か所もできます。単発型から脱毛が進む場合と最初から多発でできてしまい、広範囲になる場合もあります。 - 蛇行型
生え際が蛇行するように脱毛します。前頭部、後頭部いずれでも発生します。頭髪の生え際を一周するように数センチ幅の帯状の脱毛がみられるタイプ。多発型と考えられるが円形脱毛症(AA)において亜種(特殊)の部類に入る。 - 全頭型
円形脱毛症のうちでも重い症状にあたります。多発型がすすみ、すべての頭髪が脱毛してしまう場合と、まばらに脱毛が進む場合がありますが、いずれもすべての頭髪が抜け落ちてしまいます。急速に抜け落ちる場合は手で髪に触れるだけで抜ける激しい脱毛である。 - 汎発型
身体全体の体毛が抜けてしまうという円形脱毛症の中でも最も重い症状です。髪の毛以外にも、眉毛、髭、すね毛などすべての毛が抜けてしまいます。治りにくいため悪性円形脱毛症と記載されている教科書もある。 - 女性の急性びまん性脱毛症
急性びまん性脱毛症(ADTAF=Acute Diffuse Total Alopecia in Female)は成人女性において、1~2ヶ月ほどの短期間に全頭脱毛がおき、その後、数ヶ月で回復する脱毛症のことで蛇行型と同じく円形脱毛症(AA)において亜種(特殊)の部類に入る。
ストレスが円形脱毛症の発症原因か?|誘引と原因
円形脱毛症にはさまざまなタイプがありますが、その原因ははっきりとすべてが解明されているわけではありません。
よく「ストレスにより円形脱毛症になる」という説が言われていますが、ストレスはあくまでの円形脱毛症の発症のきっかけの1つで、直接の原因ではありません。
最近の研究でわかったことですが、
ということです。免疫反応は、自分の体内にウイルスなどの異物が入った場合にリンパ球が抗体を生み出し、攻撃や排除をします。
これが自己免疫疾患の場合は、自分の体内の成分を異物と認識し、攻撃、破壊してしまいます。円形脱毛症の患者の病理組織検査をすると、脱毛した部分の毛包内や周囲が炎症になり、リンパ球が集中している場合があります。
リンパ球には免疫反応を促すものと抑えるものがあり、そのバランスが崩れることで髪の毛の細胞自体を攻撃し、脱毛につながるのです。円形脱毛症の患者のうち、30~40%は、遺伝的な要因によるということがわかっています。
また自己免疫疾患による病気をもつの患者が円形脱毛症になりやすいです。子どもの場合は、アトピー患者の割合が高いというレポートも出ています。
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